海外調査法およびフィールドワーク2:現地報告
ー海外調査法およびフィールドワーク2は,フランス領ニューカレドニアにおいて
参加学生15名,引率2名(島津・宇津川)で行われています―
【実習中,1~2日おきに本webページにて報告していました】
グループで調査・観察・資料収集,そして帰国(9-10日目:9月12-13日)
現地最終日の9日目は事前調査のテーマにしたがってグループで調査,観察,資料収集を行いました.市場での観察と聞き取り調査,バスの乗客の観察,動植物園や休園で入ることができなかったチバウ文化センターでの観察や資料収集,街並み観察,書店での地図や資料の購入を行いました.
ホテルのあるアンスバタに戻り,ニューカレドニアでの最後の夕食をそれぞれ食べたあと,空港へ出発,10日目となる13日の0:50に成田へと飛び立ちました.

トントゥータ国際空港にて.いよいよ帰国!
ゴロ・ニッケル鉱山へ(8日目:9月11日)
8日目ははじめて薄曇りでの出発でした.今日はグランドテール島南東部にあるバレ社ゴロ・ニッケル鉱山の見学です.途中,ニューカレドニアで最もよく見るミネラルウォーターの採水地でもあるモン・ドール(ドール山)の横を通りますが,激しいスコールとなりました.雨の鉱山見学と心配しましたが,ゴロ鉱山の手前から雨は上がり,鉱山に到着しました.ここからは,日本から持って行った安全靴にヘルメット,防護メガネをつけての見学です.
風化したかんらん岩の真っ赤な山を露天掘りで採掘する巨大鉱山です.「KOMATSU」の150トン積みダンプカーが走る中,巨大な沈殿池の横を通り,採掘場が見える場所まで移動して,地質の話,採掘の仕方の話,鉱山の入口にある工場への採掘物の輸送方法の話,水の処理方法,ダンプカーなどのメインテナンスの話などさまざまな説明を受けました.昼食は3つある社食の1つで食べました.数種類のサラダ,メインの中からそれぞれ選びます.デザートのチョコレートムースのシュークリームとフルーツもつきます.
午後は,人工ダムの周辺にあるかつての伐採地を自然保護区とした,リビエルブルー森林公園を見学しヌメアへと戻りました.
リビエルブルー森林公園にて:ここも地面は赤い…
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
東海岸をまわり,2回目の峠越え.ブーライユのラ・ロッシュ・ペルセへ(7日目:9月10日)
7日目もバスによる長距離移動で,東海岸に沿って南下し,再び峠を越えて西海岸のブーライユを経由し,ヌメアへと戻りました.東海岸は西海岸とは違い,道路は海岸線に沿って通っています.砂浜の色は黒っぽく,今まで見てきた白い海岸とは全く違います.小さな町が海岸に沿って点々とつながり,わずかな低地の森の中で,ヤムイモ,カボチャや半自生のバナナなどが育てられています.集落ごとにある無人販売所の一部では,これらや鉢植えの花が売られています.島の幅は50kmと狭いですが,1000m前後の稜線を挟んで地形,植生,生活が大きくことなることが実感できました.
再び西海岸に戻って,ブーライユでニューカレドニア名物,鹿肉料理の昼食を食べ,フランス入植当時のニューカレドニアの生活や流刑地としてのニューカレドニアに関する展示があるブーライユ博物館を見学しました.最後に砂岩泥岩互層がつくり出す奇岩景観で有名なラ・ロッシュ・ペルセを見学.今日は西風がとても強かったために高波が岩にあたり,侵食によって形成されたことを実感できました.
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
東海岸,ポワンディミエへ(6日目:9月9日)
6日目はバスによる長距離移動で,北部州東海岸のポワンディミエへ向かいました.まず,グランドテール島の西海岸を南北に貫く国道1号線を北上しました.途中,ブルパリの北で内陸へ入り,ウア・トムでカナック集落の見学とカナック伝統料理のブーニャを食べました.ウア・トム地区にはいくつかの集落がありますが,中心のウア・トムは現在4人が住んでいるのみです.まずは集落の範囲を1周しました.森には有用植物のアロエなどが自生しています.タケも見られそこだけは日本の風景に少し似ていました.村長の家であるカーズを間近に見ることができましたが,中には入ることはできません.ここのカーズはニヤウリの樹皮で壁を覆うという特徴があります.一般的にはカーズは家ですが,ここでは集会所として,周辺集落との会議などで使われるとのことです.
お昼のブーニャはオセアニア地域でよく見られる焼け石を使った蒸し料理です.焼け石の上にバナナの葉でくるんだ食材をのせ,その上に覆いを掛け,さらに焼け石をのせて蒸すという調理法です.今日は白と紫の2種のヤムイモ,マニオク(キャッサバ),カボチャ,鶏肉にココナツソースをかけるというものでした.とてもおいしいのですが,あまりにも大量なので,とても全部は食べきれませんでした.
村長のカーズと村の旗を前に
ブーニャ(「残さず食べてね!」とトレイには山盛り…)
午後はラ・フォア,ブーライユを通り,コネの手前から脊梁山脈越えの道を走りました.途中,タンゴ峠で山々を遠望し,東海岸へと下りました.下る道沿いには集落ごとに無人販売があり,バナナとタロイモをわずかばかり売っているのが見られました.東側に入ると木生シダもあらわれ,斜面の植生の違いを感じることができました.
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
天国にいちばん近い島―ウベア島(4-5日目:9月7-8日)
森村桂の自伝的旅行記(1966)やそれをもとにした原田知世主演の映画(1984,大林宣彦監督)により日本で有名になった島がニューカレドニアのグランドテール島の北にある島,ウベア島です.ヌメアからおよそ200km,標高1600mを超えるフンボルト山脈を越えて,飛行機で飛ぶこと40分,樹林帯の中にある小さな空港に降り立ちます.幅が500m~5km,長さが35kmの三日月型にならぶ2つの島(大部分を占めるウベア島と小さなムリ島)からなります.
4日目と5日目はこの島を巡検しました.4日目は北部地域の巡検です.1988年に起きた独立運動(フランスの特殊部隊によって鎮圧,19名の運動家が殺害)の記念碑,島で最も大きいサン・ジョセフ教会(カトリック)の見学と海とつながっているドリーネと考えられるカメの洞穴とアナワ洞穴(青の洞穴),ウベア島北部の岩石海岸,宿泊場所のあるムリ島の西海岸(ラグーン側)のビーチの観察を行いました.ラグーン側のとても細かく白い砂の浜には目を奪われました.ウベア滞在は週末であったため,残念ながらココナツ石鹸工場やバニラ農園の見学やスナックとよばれるローカル料理を出す食堂での食事はできませんでした.

独立運動の記念碑を見学
カメの洞窟にて(優雅に泳ぐカメの姿も観察)

地元の方(兼バス運転手)が”なた”でココナッツを割る様子を見学
5日目は南部地域の巡検です.ムリのカトリック教会では日曜ミサが行われており,外から建物を見学するとともに,聞こえてくるミサの賛美歌などに耳を傾けました.南部の岩石海岸とレキンの断崖を観察し,断崖をつくるサンゴ石灰岩やノッチの地形から大地の隆起を実感しました.また,最近起こりつつある海岸侵食の現場を見ることもできました.ウベア島とムリ島を結ぶムリ橋からは,さまざまな魚(エイの群れやサメも!)見ることができました.また,伝統的な生活が色濃く残るウベアでは,カーズとよばれる伝統家屋も残っており,車窓から観察できました.夕方には再び飛行機に乗り,ヌメアへと戻りました.
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
ヌメアの朝市と路線バスの旅(3日目:9月6日)
路線バスに乗り,ヌメア市内へ.バスではニューカレドニアの音楽がかかり,ほとんどの乗客がメラネシア系のカナックの人たちで,フランス系の人が多いアンスバタとは違った光景を目の当たりにしました.路線バスターミナルのすぐそばにある市場へ向かいました.いくつもの棟があり,南太平洋ならではの果物やイモ類,ヨーロッパ系の野菜類と熱帯ならではの魚に,南太平洋マグロが並びます.マグロのsashimiも柵と切った状態のものにタルタルソースのディップつきのものを売っていて,みんなで味わいました.魚型の醤油差しに埼玉県川島町製造のワサビをおまけにつけてくれことにもおどろきました.
その後,書店で地形図などを購入,サン・ジョセフ大聖堂,街の中心にあるココティエ広場などをめぐり,郊外にあるカナックの文化を展示しているチバウ文化センターへ路線バスで行きましたが,週末のコンサート会場の準備のため閉園,バスでとって返して,市民霊園の中にある日本人墓地を見学してヌメア中心部へ戻りました.市内では一部改装中のヌメア市博物館を見学しました.
路線バスの停留所には時刻表の掲示はなく,いつ来るともわからないバスを待つことにあります.今日はちょっと運が悪く,なかなかバスが来ず,20分,30分とバスを待つことになってしまいましたが,郊外のバス停でバス待ちをする日本人の団体は珍しいらしく,たくさんの走り抜ける車から声をかけられました.

いざ市内へ(まずはバス券を運転手から購入)
朝市に並ぶ切り身
ヌメア市立博物館にて
(受付の方に日本語の解説ガイドを印刷していただきました)
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
ニューカレドニア到着(1-2日目:9月4-5日)
9月4日に出発し,同日深夜にニューカレドニアに到着,中心地であるヌメア郊外のリゾート地区アンスバタにあるホテルに午前1時にチェックインしました.5日はゆっくりと過ごすために午前は希望者のみで船で10分の沖合にあるカナル島でサンゴの観察と海岸侵食の実情を観察しました.午後はこの地区の見渡せるウアントロの丘に登り,乾燥島嶼熱帯の植生・土壌・地質の観察や第二次世界大戦中にオーストラリア軍が設置した砲台跡,周辺の島々や山々の地形の観察を行いました.夕方には地元の商店(アジア系の人たちが経営)の様子の観察や買い物を行い,ベトナム風スナックや弁当を購入しました.

海岸侵食の進むカナル島のビーチ

ウアントロの丘にて












